【エッセイ】神様の贈り物|シャンソン歌手宇佐美一生、モデル、司会もやっています。

宇佐美一生研究所
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神様の贈り物

何気なく見た テレビの画面に写るその歌声
海の匂いのする 少年の真っ直ぐな目に
私の少年の頃が重なる
どういう風の吹きまわしか テレビ局に電話をかけた
「今歌った少年に連絡をとりたいのですが・・・」
それから数日たったある日 その少年からの電話
学校を卒業したら、東京へ出て 歌の勉強がしたいと言う
「おふくろもいるし ごはんぐらいなら作ってあげられるから 頼る所が無かったら来ませんか・・」
いつか会えると楽しみにしていた母が、その年の萩の花が咲く頃 死んでしまった
翌年の春 卒業式の次の日、カバン一つ持ってやってきた少年は仏壇を見て
「おばあちゃんって、僕の生まれた日に亡くなったんだね・・」
ふと思う 母が海の国から呼び寄せてくれた それはまさしく神様の贈り物
私は南の島で生まれ 転々と渡り鳥のように学校を変え
15の時、下宿して学校を出、東京の生活に馴染む
夢見た少年(私)も もはや自分のお墓のことを考える歳になり
その時は 母と一緒にして海へ帰してもらおうと思う
その時は この世に一人 こんなちっぽけな私を思って泣いてくれるであろう青年がいる  それだけでいい
少年から青年に成り 今でもここにいる
「僕は結婚しても、連れて行きます」
他人がいつの間にか 兄に成り 父親に成り 友達になっている
自慢気にこそばゆそうに「僕の叔父さんです」と 友達に紹介する笑顔の横で私は照れ臭そうに笑顔の頭を下げる
この二人は駅のホームで会った日から 良く似ていた 
二人ともまあまあ格好はいいが なぜか悪い所ばかり私に似ると思う 困った私がいる
これからどうなっていくのか   元気ならそれでいい
どこへ行ってしまおうと 私より先に逝かなければそれでいい
今日もいつもと同じ一日が始まる
「おはようございます」   「おはよう・・・」
こんな不思議な縁はどこにでもある  
そして神様の贈り物だと私は思っている