【エッセイ】天高く馬肥ゆる秋|シャンソン歌手宇佐美一生、モデル、司会もやっています。

宇佐美一生研究所
宇佐美一生研究所
天高く馬肥ゆる秋

九州の生まれの子は、なまりがある。
イントネーションが違うのである。
私の場合、色んな所を転々としたから、引っ越すたびに笑われるのである。
自分では何でか解かってないので始末が悪い。
どこが可笑しいのかさえ解からない。

そんな私は小学の頃から、授業中、読本をするのが好きだった。
気持ちよかった。
静かにみんなに聞いて貰えたら尚更嬉しくて気持ちいいのである。
上手いなあと思って貰えたら尚更嬉しい。
みんなそう思っているに決まってる・・。
でもほんとの所はそうでないのである。
なぜなら、下手、挙句の果てになまりで聞き取りづらいのであるから。
何しろ、句読点や段落も無く、息の続く限り読み切るのである。
棒読みならまだしも、抑揚をつけて・・、聞いてる方はたまったもんじゃない。
「先生、僕に当てて」、と内心ソワソワ・・・
国語の授業で、私の席の列が当てられ、順番に回ってくる。
人が読んでるのも聞かず、自分が読むであろう所を先回りして練習をする。
楽しみにしてると決まって私の順番が回って来た所で、チャイムが鳴る。

朗読大会や歌の発表会があると、何でクラスの代表に僕が選ばれないのか不思議で仕方ない。
あいつより上手いのに何で選ばれない。
だから高校になったら自分から弁論大会に出た。
一年生で優勝した。
「ざまあみろ・・、僕は上手いのである」

小学校の朗読大会で、早瀬二三男くんが、「天高く馬肥ゆる秋・・」という滑り出しで朗々と読み始めた。
練習を盗み見していたから、僕はもう文章を諳んじてしまっていた。
自分がさも書いたように、それはそれは上手く読めていたのに、この大会にも私は選ばれなかった。