【エッセイ】窓|シャンソン歌手宇佐美一生、モデル、司会もやっています。

宇佐美一生研究所
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窓

この世の不幸を背負った顔をして、ベッドの上からうろんだ目で外を見る。

大木の葉が春の海のようにゆったりうねる。
音がしない。

青い服を着た男が二人、屋上で働いているのが見える。
汚れた手で帰ると、「お帰り」と、飛びつく子供がいるのだろうか。
「幸せだろうなあ・・・」、と思う。

呆けたように、薄い砂のような空を見る。

足元には八月だというのに高く積まれた掛け布団。
寒気がする。
死ぬんだろうか。
あとどれくらい。

六人部屋だというのに、ベッドの周りをカーテンで仕切り、人からどう見られているのか。
これからどう思われるのか。
そればかり気にしている。

いいカッコしいの自分がいる。

生きたい生きたいと、騒ぐ。

「山田さん、体温計りましょう」という看護婦の声のする方に、仏頂面な顔を向ける。

三十六度。